ソフトバンクグループ(SBG)が2020年3月期決算で1兆円超と巨額の営業赤字を計上する見通しになった。つい2カ月前の記者会見で孫正義会長兼社長はまだ強気だった。新型コロナウイルスの感染拡大による衝撃の大きさは想定できていなかった。

 「厳しい冬のあとには春が来る。今回は潮目が変わった決算だ」。孫氏は2月12日の記者会見で、何度もそう繰り返していた。

 同日公表の19年4~12月期決算は、営業損益が129億円の赤字。投資ファンド事業の不調が響き、15年ぶりの赤字だったが、純損益では黒字をキープ。直前に傘下の米携帯電話スプリントとTモバイルUSの合併をめぐる訴訟で勝訴したほか、株価が上がり調子だったことも追い風に、孫氏は「積極的な経営を継続できる」と強気だった。

コロナ・ショック、市場直撃

 昨年はファンドの投資先である米シェアオフィス大手ウィーワークや米配車大手ウーバー・テクノロジーズなどで経営不振や株価下落が相次いだ。グループ経営はそれらの立てなおしに追われ、資金繰りや再建計画の策定に奔走。ようやく道筋がついたとアピールした矢先に、コロナ・ショックが市場を直撃した。

 SBGの投資ファンドは投資先の価値変動が業績を大きく左右する。新型コロナの影響で金融市場は大荒れとなり、株価が急落。投資先に多い宿泊や不動産の市場でも需要が激減している。こうした影響が投資先の価値を急落させ、巨額の赤字計上につながった模様だ。

 SBGは13日の発表で、「現在の市場環境の悪化を踏まえ、投資家に対し情報提供を速やかに行う」として、業績予想の開示に踏み切った。

■「投資ビジネス」の…

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