FRB「見通し急激悪化」 空前の緩和、異論押さえ決定

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ワシントン=青山直篤
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 新型コロナウイルスの感染拡大による景気の急速な減速に対応し、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月に「ゼロ金利」への回帰などを決めた際の議事要旨が8日、公表された。一気に大規模な金融緩和を進めることへの異論も出たが、「米経済の見通しが急激に悪化し、著しく不確かになった」との認識のもと、空前の緩和策を決めていた。

 3月15日の日曜日、FRBは金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を緊急開催。政策金利の誘導目標を「年1・00~1・25%」から「0%~0・25%」に下げ、2015年12月以来のゼロ金利回帰を決めた。さらに、米国債などの購入を通じた大規模な「量的緩和」の再開にまで踏み込んだ。FRBは3月3日にも0・50%幅の緊急利下げを決めたばかりだった。コロナ問題で株価の急落が続き、金融市場に不安が広がる中、矢継ぎ早に手を打った。

 15日の会合では投票権のある10人の参加者のうち数人が、「金融緩和の手段が限界に達しつつあると受け取られるのではないか」との懸念を示した。FRBが決めた素早い対応は、政策手段を出し尽くしてしまう可能性もはらむ。米国では景気が堅調だった2月まででさえ、物価指数の上昇率はFRBの目標2%を16カ月連続で下回っていた。早期にゼロ金利を打ち出してしまうと、景気悪化が長引いてデフレ圧力が強まっても、金融緩和の余地がなくなってしまう。数人の「懸念」はその点を指摘したものだ。

 また、この「数人」より少ない「2~3人」の参加者は、1%幅という大幅な利下げを決めることで、市場が景気悪化について必要以上に疑心暗鬼を強めるのではないか、と懸念した。このため、より小幅な「0・50%幅」の利下げを主張し、クリーブランド連銀のメスター総裁はただ1人、最終議決でもこの立場から反対票を投じた。

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 FRBは利下げだけでは衝撃…

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