苦境の今こそ、人類の好機 大澤真幸さんが見つめる岐路

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 世界中の人々が同じ危機に直面しており、誰にとっても逃げ場はない。新型コロナウイルスの感染拡大で、私たち人類は「運命共同体」であることを、いや応もなく実感させられた。社会学者の大澤真幸さんは言う。「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と。

社会学者・大澤真幸さんに聞く

 ――ついに日本政府も緊急事態を宣言し、世界中の都市から人影が消えつつある。誰にとっても想定外の事態をどう捉えますか。

 「ウイルス自体は文明の外からやってきた脅威ですが、それがここまで広がったのは、『グローバル資本主義』という社会システムが抱える負の側面、リスクが顕在化したからだと考えています」

 「未知の感染症は野生動物が主な宿主です。世界中の原生林が伐採され、都市化された結果、野生動物との接触機会が増え、病原体をうつされるリスクも高まった。英国の環境学者ケイト・ジョーンズは『野生動物から人間への病気の感染は、人類の経済成長の隠れたコストだ』と指摘しています」

 「新型コロナウイルスの深刻な特徴は、感染の広がるペースがあまりにも速いことです。2002~03年に中国南部から広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)とはまるで違う。病原体自体の性質の違いもありますが、中国がグローバル資本主義を牽引(けんいん)し、国内外への人の移動が飛躍的に増えたことが確実に影響しています」

 ――経済活動が地球規模に広がったことが危機を招いた、と。

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 「『人新世(じんしんせい)…

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