(小説 火の鳥 大地編)49 桜庭一樹 殺気立つ満州で

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 兄の緑郎くんに「強くならなきゃだめだ!」とハッパをかけられた正人少年は、小声で、

「でも、強い者だけが正しい世の中なら、兄さん。兄さんが弱くなったときは、どうするの」

「ナニィ? ぼくは弱くなんかならん! 絶対だ! 弱い者には価値がない。負けて、踏まれて泣くだけさ。……お母さーん、お母さーん、ってな!」

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 緑郎くんが唇を歪(ゆが)ま…

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