テレワーク、日本の導入なぜ遅い? IT化の差ではなく

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聞き手・清水大輔
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 新型コロナウイルスの感染が広がる中で、職場から離れた場所で仕事をするテレワークに注目が集まっています。日本では在宅勤務を含め、大手の商社やメーカーなどを中心に導入が広がる一方で、中小企業では実施が難しいとの指摘もあります。欧米などと比べた際に日本にはどのような課題があるのでしょうか。今すぐできるテレワークの具体的な手法を含めてITジャーナリストの西田宗千佳さんに聞きました。

 ――そもそもテレワークはいつごろから始まった取り組みなのでしょうか?

 「テレワークが始まったのは米国の西海岸です。1970年代にロサンゼルスを中心にマイカーブームによって大渋滞と、排ガスによる大気汚染問題が深刻化しました。仕事にも環境にも影響が大きいことから導入が始まりました。その後、パソコンの普及、89年にサンフランシスコで起きた地震などを受けたリスク分散対策として広がります。米同時多発テロの際にも改めてその効果に注目が集まりました」

 ――IT先進国だから生まれたというわけではなかったのですね。日本ではいま大企業中心に推進されていますが、中小企業では導入が難しいとの指摘もあります。

 「いまでは日本と米国でITインフラ面で大きな差はありません。違いが大きいとすると仕事の評価基準です。米国では個々に与えられた仕事の範囲と責任が明確で、業績評価と報酬制度が浸透しています。特に、ホワイトカラー労働者については、時間管理の枠から除外できる『ホワイトカラー・エグゼンプション』が導入されています。ただ、それ以外の職場でも、働く場所や時間よりも、成果や雇用者の生活が重要、という見方がされます」

――ヨーロッパ諸国ではどうで…

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