山登り、ルートはグレードで 体力・技術・経験を数値化

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近藤幸夫
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 3月から春山シーズンを迎えました。夏山に向けて登山計画を立て始める人もいることでしょう。では、どの山に登るのか。経験や体力に合った山選びが、安全な登山の第一歩です。そんな時に役に立つ「山のグレーディング」をご存じですか? あなたの体力と技術にあった山と、そのルートとは。

 かつての登山者は、大学山岳部や社会人山岳会などの組織で登山の基本を学び、ステップアップしながら岩登りや冬山に挑んできました。しかし、最近は組織に所属せず独学の知識や経験で登山をする未組織登山者が多くなりました。

 それとともに増えたのが遭難者です。記者の本拠地である長野県は例年、山岳遭難が発生件数、遭難者数とも全国最多を記録しています。2010年から4年連続で過去最多を更新する深刻な状況となり、13年は300件、遭難者328人のうち、死者・行方不明者が74人にのぼりました。

 遭難増加の一因として「体力の低下を意識しない中高年」「山の怖さを知らない初心者」の存在が挙げられます。北アルプスの槍(やり)・穂高連峰など険しい岩場地帯など、自分の力量に合っていない山を選ぶことが転倒・滑落などの危険を招くのです。

 こうした状況を受け、長野県が14年に発表したのが「信州 山のグレーディング」でした。県内の一般的な登山ルート(123ルート)を難易度別に仕分けたのです。

 グレーディングは、2種類の要素を組み合わせ、登山者の力量に合った山を選ぶ仕組みになっています。

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 一つは「体力度」で1~10…

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近藤幸夫
近藤幸夫(こんどう・ゆきお)元朝日新聞山岳専門記者
1959年。岐阜市生まれ。信州大学農学部卒。86年、朝日新聞入社。初任地の富山支局で、北アルプスを中心に山岳取材をスタート。88年から運動部(現スポーツ部)に配属され、南極や北極、ヒマラヤで海外取材を多数経験。2016年から山岳専門記者として活動。今年からフリーランスに。