「口笛の聖地」で汗かき、息切れ… 美しい音色の秘訣は

有料記事

山田佳奈
[PR]

 人口12万人の大阪府大東(だいとう)市が「口笛の聖地」と聞いた。新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクをしないで気持ちよく口笛を吹くのがためらわれるご時世だが、「なぜ、大東市なんだろう?」と興味が湧いた。

「まだまだ勝手に関西遺産

 京橋駅から快速電車に乗ること10分。大東市役所の最寄りである住道(すみのどう)駅に着いた。全国区である高校野球の強豪、大阪桐蔭高校の地元。近くで口笛教室が開かれているという。

 「1分間に1拍を60回、正確に吹いて下さい」

 「次は2拍30回!」

 「4拍15回!」

 教室をのぞくと、みんな楽しそうだが、真剣に口をとがらせていた。休みを挟んで30分。うっすら汗をかき、息も切らしていた。まるでスポーツを見学しているようだった。

 「腹式呼吸になるので健康にもいいですよ」。一段落して、こう教えてくれたのは、大東市在住のもくまさあきさん。御年78歳。おなかは引き締まっていた。口笛のプロ奏者で「日本の口笛界のパイオニア」と評される。練習に参加していた京都府城陽市の中島秀代さん(62)は「腹筋に効くし、ほうれい線にも効果がありそう」と話した。もくさんの演奏を聴いて感動し、習い始めた。

日本初の全国大会開催

 もくさんは大手流通会社に就職。海外出張の際に飲みに行ってステージを見かけると、口笛を披露した。言葉は関係ないし、どの国の人にも伝わるのを肌身で感じた。2000年に世界大会に出場し、ポピュラー部門(成人男子)で2位になり、口笛の道に邁進(まいしん)することにした。

 大東市で教室を開き、04年にNPO法人「日本口笛音楽協会」を設立。05年には日本初となる口笛の全国大会を大東市で開いた。

 もくさんは市生涯学習センターのオープニングセレモニーに参加した。会場となった50席ほどのホールに、もくさんの口笛がマイクなしで響き渡った。「ここは口笛の聖地だ」。これを聴いた男性の一言が広まった。13年には、市民ら1千人が口笛で「ふるさと」を奏でるコンサートも実現した。

ここから続き

 堺市の会社員緒方隆人さん(…

この記事は有料記事です。残り701文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません