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組織委理事が延期発言 東京五輪、できなくても補償なし

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪パラリンピックは予定通り開催されるのか。国際オリンピック委員会(IOC)は開催を強調するが、大会組織委員会内からは「延期の検討を」との声も出ている。

内部からの問題提起

 「コロナウイルスは世界的な問題。日本が大丈夫ならそれで開催できるわけではない」。11日、組織委のある理事のインタビュー記事に注目が集まった。発言主は元電通専務の高橋治之理事。個人的な見解とした上で、今夏に開催できない場合は1~2年後の夏に延期するプランを考えるべきだと主張した。

 電通で1984年ロサンゼルス大会から五輪にかかわり、国際的なスポーツビジネスと深い関わりを持つ高橋氏。他の国際的スポーツイベントの日程が埋まっていることから、「2年後の夏が一番可能性がある」と発言。「今から準備しないと間に合わなくなる」と訴えた。

中止の権限は

 IOCのバッハ会長は3月のIOC理事会で「東京五輪の成功に変わらぬ自信を持っている」と強調し、「延期」「中止」説の火消しに努めた。複数の大会関係者も、現状では予定通り開催するとの見方で一致している。

 大会を中止するかどうかの権限はIOCにある。IOCと開催都市との間で結ぶ契約には、戦争、内乱などのほか「本大会参加者の安全が理由を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」にも中止する権利を有すると記されている。

 その場合、IOCが開催都市に中止の検討を通告し、60日以内に事態が改善されないと契約は解除となる。東京大会がそうなると、日本側は補償や、損害賠償を請求する権利を放棄することも明記されている。

中止・延期の場合は

 近代五輪が始まった1896年アテネ大会以降、夏季五輪は3度、中止されている。16年のベルリン、40年の東京、44年のロンドンの各大会で、いずれも戦争が理由だった。

 延期の前例はない。仮に東京大会が2年延期されると、五輪と並ぶビッグイベントであるサッカーのワールドカップ(W杯)と重なる。だが、W杯開催地中東カタールの酷暑を避けるために従来の6~7月開催ではなく、11月開幕で組まれており、日程的に重なることは避けられる。

 ただ、課題は多い。

 まず、施設の維持管理費の問…

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