客引き「月100万稼いだ」スマホで顔撮影、条例無力化

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村上友里 柏樹利弘 藤田大道 高木文子
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 名古屋市の繁華街で、居酒屋やカラオケ店を案内する「客引き」への苦情が後を絶たない。市の「客引き禁止条例」ができ、まもなく2年が経つ。効果のほどを確かめようと、飲食店やカラオケ店などが立ち並ぶJR名古屋駅周辺を記者が歩いた。

 1月下旬の夜。会社員や観光客らでにぎわう中、「客引き」たちは道路のあちこちに立っていた。

 「お店紹介できますよ」

 「居酒屋お探しですか」

 そろいのジャンパーを着たり前掛けをかけたり。たいていは声をかけるだけ。そんななか、ひとりの男の客引きが2人組の女性につきまとい始めた。

 すぐに男性数人が駆けつけ、客引きと女性たちの間に割って入った。繁華街を見回る指導員だ。身分は名古屋市の臨時職員。市の「客引き禁止条例」に違反する行為がないか目を光らせていた。

 市は通行人の前に立ちはだかったり、つきまとったりする悪質な客引きを減らそうと、2018年に条例を施行した。禁止地区(名駅や栄、金山の繁華街)で違反した場合は段階的に警告し、従わない場合は氏名の公表と5万円以下の過料を科す。

「問題解決に至っていない」嘆く指導員

 市によると、警告を受けた人の数は今年1月までに延べ624人に上るが、過料を科したのは1人だけ。一方、客引きに関する苦情は昨年4月から今年1月までに166件寄せられており、担当者は「問題解決に至っていない」と嘆く。

 なぜか。指導員とともに街を歩くと、理由がわかってきた。

 市の幹部職員らと1チーム3~4人で巡回する指導員が警告するやいなや、ほかの客引きたちがスマートフォンで撮影を始めた。

 そばにいた記者も撮られた…

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