新幹線ニューステロップ惜しむ声 AI開発の矢先に悲報

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細沢礼輝 佐藤恵子
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 東海道新幹線の車内の電光表示案内板に流れるニューステロップが、13日で終了する。平成とともに始まり、30年余り続いたサービスはもはや、必要ないのか。

 JR東海が終了を発表した2月21日。家電メーカーのシャープの公式ツイッターがつぶやいた。

 「疲れた出張帰りの新幹線で、何度も自分の会社の悪いニュースをテロップで見た。なくなると知ると、なぜかさみしい気持ちになる」

 フォロワーは63万人超。惜しむ人たちの投稿も続いた。「子供の頃はあのニュースを見て社会を学びましたな」「いつも見上げていたテロップがなくなるのはさみしい。あの文字数から色々読み取るのが楽しかったのに」

 JR東海によると、車内テロップを使った情報提供が始まったのは、サービス向上をめざして開発された2代目新幹線「100系」が登場した1985年。客室の両端の扉の上に電光表示案内板を備え付け、停車駅や車内案内、気象情報などを流した。89年からは新聞社と契約して最新ニュースや経済情報、プロ野球の結果なども流すようになった。

 同年3月9日付の朝日新聞は「列車内での国内初の電光板ニュースサービスが開始」と報じた。朝日、毎日、日経、読売の4紙のニュースが表示されて乗客の目を引いていた、と伝えた。

 携帯電話もインターネットも普及していない時代。鉄道ジャーナリストの梅原淳さん(54)は社会人になったばかりの頃で、新幹線に乗るたびにテロップを目で追った。「当時の東京―新大阪間は今より20分ほど長くかかり退屈だったから、画期的な電光板のニュースを見ている人が多かった」と振り返る。座席によってはテロップが見えにくく、車両の真ん中にも設置するように求める声もあったという。

 ニューステロップは見出しが10文字以内、本文は48文字以内。考えるのは新聞社だ。朝日新聞でも記者が話題を選んで文章を練り、1時間に1本のペースで提供してきた。新幹線のほか、街中のデジタルサイネージ(電子看板)などにも配信する。さらに、作業を効率化させようと、人工知能(AI)による作成プログラムを開発。今年1月に導入して、大幅に作業時間を短縮できた。が、その直後、東海道新幹線での終了が決まった。

 JR東海は、やめる理由につ…

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