アマゾンに勝った女性市議 社会主義者が街を変えていく

有料記事トランプ氏と戦う民主候補は

シアトル=江渕崇

 米大統領選に向けた民主党の候補者選びで、バーニー・サンダース上院議員ら「プログレッシブ」と呼ばれる急進左派が勢いづいている。彼らが影響力を強めると何が起きるのか。社会主義者の女性市議が行政を「左」へと引っ張る北西部の大都市シアトルに先行例をみた。(シアトル=江渕崇)

アマゾン本拠地で課税めぐりバトル

 「アマゾンに課税せよ」。シアトルのクシャマ・サワント市議(46)は1月、3期目の就任集会でそう訴えて喝采を浴びた。「今の危機は資本主義が必然的にもたらした機能不全だ。社会主義の世界を築こう」

 シアトルに本拠を置くネット通販大手アマゾンの急成長で一帯の家賃が急騰。家を追われる人が続出し、ホームレスは推計1万2千人と全米最悪水準だ。公営住宅の財源としてアマゾンなど大企業に課税し最大5億ドル(1ドル=約110円)を賄う。それが彼女の提案だ。

 「アマゾン税」は市議会が2018年に議員9人の全会一致でいったん導入を決めた。大企業に対し従業員1人あたり年275ドルを課すものだ。ところが、アマゾンが本社移転や住民投票をちらつかせて猛反撃。市議会は一転、新税撤回に追い込まれた。撤回に反対した市議はサワント氏を含め2人だけだった。

 さらにアマゾンは昨年11月…

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この記事を書いた人
江渕崇
経済部次長|国際経済担当
専門・関心分野
資本主義と民主主義、グローバル経済、テクノロジーと社会
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