土方歳三、鬼の副長の手紙は代筆? 意外な姿見えてきた
編集委員・宮代栄一
幕末の浪士隊・新選組で副長を務め、北海道・函館の五稜郭の戦いで命を落としたとされる土方歳三。司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」などで「鬼の副長」のイメージが定着しているが、限られた史料からは意外な姿も見えてきている。
書簡は代筆説
天保6(1835)年、武蔵国多摩郡石田村(現在の東京都日野市石田)で豪農の子として生まれた。剣術が好きで天然理心流に入門。文久3(63)年に徳川家茂警護のための浪士隊に加わって京にのぼり、壬生浪士(後の新選組)を結成して副長となる。幕府瓦解(がかい)後も新政府軍と戦い続け、明治2(69)年に北海道の函館で戦死した。
実力派の剣の腕前に加え、俳句や漢詩をたしなみ、能書家との説も。小説やドラマでは、けんか好きで、局長の近藤勇を献身的に支える「ナンバー2」という描かれ方が定番だ。
だが人となりを伝える一次史料は多くないという。日野市立新選組のふるさと歴史館元館長の藤井和夫さんが注目したのは土方が書いたという書簡だ。筆跡を調べると署名を含め筆遣いがばらばらで、いずれも代筆の可能性が高いとわかった。
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