「でたらめ」作りを研究者たちが競う 奥深い乱数の世界

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勝田敏彦
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 「でたらめを言うな!」と、怒鳴られた経験はありませんか。でも「でたらめ」がとても大切なときもあります。奥深い「乱数」の世界へようこそ。

 岩波書店の「数学入門辞典」で調べると、「乱数」の項目にはいきなり「数学的に厳密な定義を与えることは難しい」とあります。でも怖がらなくて大丈夫。身近な方法では、どの目が出る確率も同じサイコロを振って、出てきた数字を並べると乱数になります。つまり、次に何が起きるか予測できない現象を使ってつくられた数字の列を、乱数と呼んでいます。

 日常生活では、コンピューターゲームでいろいろなところから敵が出てきたり、楽曲をランダムに再生できる機械を使ったりする時に乱数の存在を感じるでしょう。

 乱数には二つの種類があります。一つはサイコロ投げのような物理現象を使う「物理乱数」です。放射性物質の崩壊や電気回路の雑音など、もともとあるランダムな現象を利用します。「でたらめ度」が高く、「真の乱数」とも呼ばれます。

 もう一つは、整数のかけ算や割り算を組み合わせた計算でつくる「疑似乱数」です。コンピューターがあれば他に特別な装置がなくても、高速に乱数をつくれます。しかし、どこかで同じ並びの数字が再び出てきてしまう「周期」を持つ欠点があります。

 乱数には大切な用途があります。

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