「使ってなんぼ」の個人情報 保護法、成り立ちの限界

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大津智義 渡辺淳基
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シンギュラリティーにっぽん

 大量の個人データを吸い上げて活用する「プラットフォーマー」(PF)の台頭で、個人情報保護法に注目が集まっている。この法律の成り立ちを追うと、一つの疑問が浮かび上がる。「私たちを守ってくれる力が、本当にあるのだろうか」(大津智義、渡辺淳基

シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。そこから派生して、社会が加速度的な変化を遂げるときにもこの言葉が使われ始めている。

 重厚な木目調の壁が印象的な部屋からは、東京・霞が関の官庁街を見下ろせる。ここに昨年1月から個人情報保護委員会の9人の委員らが24回にわたって集い、今年が3年に1度の見直しに当たる保護法の改正に向けた議論を重ねてきた。

 情報への厳しい姿勢を表すように会議は公開されず、部屋が何階にあるかも伏せられている。昨年12月、「個人の権利」を拡大しようとする方針がここで示された。これまでの保護法の流れを変えかねないテーマだった。

 就活生に同意を得ないで内定辞退率を予測、販売していた問題が昨夏に発覚するなど、企業側に情報を提供する個人が、自らの情報の取り扱いへの関心を高めていることが背景にある。

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 これに対して、経済界は反論…

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