武漢市長「権限なしに情報公開できぬ」 政府の責任示唆

北京=西村大輔 台北=西本秀
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 新型肺炎の発症が最初に確認された湖北省の省都・武漢市の周先旺市長が27日、中国国営中央テレビのインタビューで「(感染状況の)情報公開が遅れた」と認めた。一方で「地方政府は情報を得ても、権限が与えられなければ発表することはできない。この点が理解されていない」とも発言。情報提供の遅れは、中央政府の対応にも原因があることを示唆した格好だ。

 武漢市では9日に新型ウイルスが検出されて以降、感染者数が40~60人程度で推移し、あまり変化がなかった。だが、習近平(シーチンピン)国家主席が20日に「蔓延(まんえん)を抑え込め」と指示を出すと、感染者数が急増した。

 周氏はインタビューで、20日に国務院(政府)の会議で一定の情報公開などの職責を現場に求められたと説明した上で、「その後は我々の仕事はかなり主導的になった」と述べた。

 情報の遅れをめぐっては武漢市や湖北省の政府高官が批判の的になってきたが、習指導部は党・政府機関を厳しく管理しており、当初から感染状況を把握していたのではないかとの見方が広がっていた。

 それだけに周市長の発言は注目を集め、ネット上では「大変重要な発言だ。情報隠しの責任はどこにある?」「この国の官僚体制の重大な問題だ」といった書き込みが拡散。「国営テレビで中央の責任も指摘した市長は大胆だ」と驚く声も出ている。(北京=西村大輔)

台湾内で初 二次感染とみられる感染者

 中国湖北省武漢市を中心に広がる新型コロナウイルスによる肺炎の問題で、台湾の衛生福利部(衛生福利省に相当)は28日夜、台湾内で初めての二次感染とみられる感染者を確認したと発表した。台湾中部の50代の男性で、家族の1人が武漢へ渡航歴があり、27日にウイルス感染が確認されていた。この家族から感染したとみられる。

 台湾の感染者の数は計8人となった。武漢から旅行で訪れた中国人が3人、武漢滞在歴のある台湾人が4人、台湾内での二次感染が1人となる。(台北=西本秀

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