「感染、バス車内の可能性高い」 奈良県が会見

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 中国の湖北省武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、武漢市への渡航歴のない奈良県の60代男性の感染が確認されたことを受け、奈良県が28日夜、会見した。県は、男性がバスの運転手で武漢市からの観光客を乗せていたことを踏まえ、バス車内で感染した可能性が高いとしている。

 会見によると、男性が武漢市からのツアー客を乗せたのは2回。今月8~11日(乗客31人)と、12~16日(乗客29人)。バスガイドも同乗していたという。男性は8日からのツアーではマスクは着用していなかったが、12日からのツアーでは着用していたという。

 こうした状況を踏まえ、「長い時間バスに乗っており、バスが県内に立ち寄った時間は短い」と説明。「長時間同じ空間にいたため、感染したと考えられる。奈良県内で感染したとは考えにくい」と述べた。一方で、バスの経路などについては「差し控えたい」と述べた。

 また男性と2メートル以内で接触した家族や医療関係者らを「濃厚接触者」として確認を進めており、経過観察中だとしている。

 厚生労働省によると、男性は14日に寒気やせき、関節の痛みが出て、17日に奈良県内の医療機関を受診。22日に症状が悪化し、25日に再受診して肺炎の症状が確認され、奈良県内の医療機関に入院した。県によると、男性は症状はあるものの、容体は安定しているという。

感染、どのように防げばいいのか

 バスの中のように、感染者と濃厚に接触する狭い空間での感染はどのように防げばいいのか。

 グローバルヘルスケアクリニック(東京都千代田区)の水野泰孝院長(輸入感染症)によると、せきやくしゃみによる感染を防ぐためにマスクの着用は有効だが、着用中や捨てる際には、ウイルスが付着している可能性がある外側に触れないことが大切だという。加えて「ウイルスを直接触ることによる感染にも注意する必要がある」と指摘する。

写真・図版

 今回のケースについて水野さんは、ウイルスに感染し、せきや鼻水などの症状が出ていた乗客が触った手すりなどを運転手が触り、その後に手を洗わずに目や口などに触れて感染した可能性があると指摘する。感染予防のためには「手洗いをしっかりすることに変わりはない」と話す。

 東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は、特に中国からの訪問者と接する機会の多い旅行業界の関係者は、手洗いとマスクの着用を積極的にする必要があると呼びかける。接触した可能性がある人が発熱などの体調不良を感じたら、早めに受診することが感染の拡大防止につながると話す。

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