阿久沢悦子、堀之内健史
南海トラフ地震の津波が今後30年以内に沿岸を襲う確率が24日、発表された。被害が想定される自治体では、津波リスクを踏まえたまちづくりが進む。そんな中、新しい役場庁舎を中心部の津波浸水域に造る動きもある。防災拠点の役割を意識しつつ、市街地の活性化を図る狙いだが、疑問視する声もある。
静岡市は2023年にも、老朽化した清水区の清水庁舎を現在地の約1キロ北で、海から約200メートルのJR清水駅東口に移す計画だ。7~8階建てで総事業費は約94億円を見込む。
拡大する静岡市役所清水庁舎が移るJR清水駅東口公園=2019年10月26日、同市清水区袖師町
市は選定理由として、人口流出や経済の低迷が続く地元の再活性化を挙げる。当初は内陸への移転も検討したが、田辺信宏市長は「コンパクトでにぎわいのあるまちづくりなどをトータルに考えた」と話す。
拡大する清水庁舎の移転計画
国の発表では、清水区の一部は、3メートル以上の津波が「6~26%」の高い確率で来るとされた。市は新庁舎の津波対策として、1階を柱だけのピロティ構造にして津波が通り抜けるようにする計画だ。庁舎内や、庁舎2階と駅をつなぐ通路などには約1万2800人が避難可能で、市は「攻めの防災拠点をめざす」と理解を求める。
だが、計画の再考を求める住民…