立って会議→東証1部上場 あるIT企業の働き方改革
残業時間に罰則付きで上限を設ける規制が、昨春の大企業に続いて、今年4月から中小企業にも導入されます。従業員の長時間労働に頼って何とか業務を回している中小は少なくないとみられ、今回の規制は働き方改革の「難所」の一つとも言えます。この大きなハードルに中小はどう挑んでいけばいいのか。ヒントを求めて、東京のある企業を取材しました。
立ってパソコン?
JR山手線の五反田駅近くのビルに、スマートフォン向けゲーム事業などを展開するモバイルファクトリー(従業員約90人)の本社が入る。オフィスを訪ねると、見慣れない光景が目に入った。複数の社員が高さを調整できるデスクをへそのあたりにまで引き上げ、立ってパソコンを操作している。すぐ近くでは、バーカウンターのような高さのテーブルを囲み、資料を手に立ったまま会議をしているグループの姿もあった。
実はこれが同社の働き方改革の一環なのだ。
技術者が辞めていく
どういうことなのか。話は2012年にさかのぼる。
当時、急速なスマホの普及にあわせて、ITモバイルサービスの競争が激化。長時間労働が当たり前になり、結果としてゲームなどの開発に欠かせないエンジニアの退職が続発した。離職率は20~30%台と高水準が続く一方、人材は取り合いで、採用の現場では優秀なエンジニアを大手に次々と奪われた。
宮嶌裕二社長(48)はこの状況に危機感を抱いた。「できるエンジニアとできないエンジニアの間には20倍の能力差がある」。生命線となる優秀なエンジニアを確保するため、長時間労働のない働きやすい職場を実現し、人材を呼び込もうと考えた。
「これは投資だ」
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