連合に解体の足音 英国の「島国根性」から見るEU離脱

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聞き手 ヨーロッパ総局長・国末憲人
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 英国が、欧州連合(EU)から31日に離脱する。激変するのは英EUの関係だけではない。「もう一つの連合、すなわち連合王国たる英国も危機を迎えている」。英国を代表する歴史家のデイビッド・レイノルズさんは警告する。背景にあるのは、英国人、特にイングランド人の「島国根性」なのだという。

1952年生まれ。20世紀外交史が専門で、パリ政治学院や日本大学でも教えた。近著「島の物語 ブレグジット時代の英国とその歴史」(未邦訳)。

 ――英国がEUを出ます。英国は結局「欧州の一員」としての意識を持てなかったのでしょうか。

 「英国は確かに、欧州統合の過程に遅れて参加しました。フランスの影響を強く受けた規則にも、域内で力を増すドイツの経済力にもなじめなかった。英国はEUにとって、どこか気まずい加盟国でした。『だから離脱を選択したのだ』という人たちがいます」

 ――関係が元から薄かった、というのですね。

 「ただ、歴史を振り返ると、英国は欧州大陸と常に絡み合いながら歩んできました。1066年にはフランスがイングランドを征服してノルマン朝を開き、その後英国は大陸に広大な領土を保持しました。英仏海峡は英国と大陸を分ける存在でなく、英仏の王国を結びつける『橋』だったのです。英国は、大陸の勢力関係にも無関心ではいられませんでした。フランスやベルギーにとっての脅威は、英国にとっても脅威。16世紀にはエリザベス1世がスペイン無敵艦隊と戦いましたし、ナポレオンの欧州制覇の野望や20世紀ドイツのヒトラーの侵攻を、英国は見過ごせませんでした」

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 「EUに関しても同様です…

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