検察官にトップ「下手やなあ」 工藤会裁判、今後の行方

有料記事裁かれる工藤会

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 四つの市民襲撃事件で殺人罪などに問われた指定暴力団工藤会トップの総裁野村悟被告(73)とナンバー2の会長田上(たのうえ)不美夫被告(63)の公判が16日に開かれる。12月23日までにすでに15回が終了した。最大の焦点は「両被告の指示があったかどうか」だ。検察側と弁護側はどういう方針で臨み、何を浮かび上がらせようとしたのか。

検察「上意下達」「知らないはずない」

 10月23日の初公判。野村被告は「私は四つの事件全てにつき無罪です」、田上被告は「全く関与していません」と無罪を主張した。弁護側は、特に田上被告について、2002年にいったん逮捕されながら不起訴となったことを踏まえ「公訴権の乱用」と批判した。

 検察側は冒頭陳述で、4事件とも両被告が指示したと指摘。10月28日の第2回公判からの証人尋問では、工藤会が「上意下達で動く組織」であることの立証に力点を置いた。「トップ2人が事前に知らなかったはずはない」と示すためだ。

 元組員は野村被告宅で「幹部たちも手をついて頭を下げて『おはようございます』と言っていた」と振り返った。2次団体組長は、組の年賀状に幹部の序列や肩書を記し、新年行事の「事始め」式では幹部が上座に着くと説明した。

 一方、報道各社の取材を受ける工藤会の「スポークスマン」役だった木村博受刑者(66)=殺人罪などで服役中=は総裁を「隠居」、会長を「象徴」と表現。両被告は「(会の運営の相談に)口を出すこともなかった」と述べた。

 11月11日の第5回公判からは、4事件で最も古い元漁協組合長射殺事件の審理に入った。この事件では、実行役や見届け役の有罪判決が確定している。

 検察側は、港湾工事や漁業補償をめぐり元組合長が持つ利権に工藤会が絡もうとしたが、元組合長らに拒まれたことが事件の背景にあるとの見立てで、証人尋問を続けている。

 元組合長の知人は11月25日の第7回公判で、事件前の1992、93年ごろ、小倉北区の飲食店を訪れた元組合長が、店に野村被告がいることが分かるとすぐに退店し、若い組員風の男にあいさつを求められても拒んだと証言した。

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 また元組合長の長男は11月…

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