自衛隊の中東派遣、発端はトランプ氏投稿 日米安保は今

有料記事日米安保の現在地

編集委員・佐藤武嗣 同・土居貴輝 二階堂友紀 渡辺丘
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 「世界の主要なエネルギーの供給源である中東地域で、日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常に重要です」。緊張した面持ちの自衛隊員らに、河野太郎防衛相は呼びかけた。

 11日午前、中東海域に第1陣として派遣される海上自衛隊P3C哨戒機が、隊員の家族らに見送られ、海自那覇基地を飛び立っていった。

 トランプ米大統領の指示で、米軍はイランの革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。年明けの中東情勢は一気に緊迫し、「第3次世界大戦」という言葉すら飛び交った。外務省幹部は「こんな事態になるとは想定していなかったが、派遣しないという選択肢はなかった」と語る。

 「派遣」の発端は、トランプ氏のツイートだった。

 「(ホルムズ)海峡から中国は91%を、日本は62%の石油を運んでいる。なのになぜ、見返りもなしに我々が他国の海上輸送路を守らなければならないのか」

 昨年6月、ホルムズ海峡付近で日本企業などのタンカーが攻撃を受けた。直後のトランプ氏のツイッターでの一言が、政府内に波紋を広げた。

 「あのツイートで日本が名指しされたのが、きっかけだった」。政府関係者は、このとき海上自衛隊の中東派遣の検討が水面下で始まったと証言する。

 米軍はイラン牽制(けんせい)のため、「有志連合」構想・海洋安全保障イニシアチブを表明。60カ国以上に参加を呼びかけたが、英仏独などの引き留めにもかかわらず、一方的にイラン核合意から離脱し、自ら緊張を招いた米政権の要請に応じたのは、わずか6カ国に過ぎない。

 イランとの関係も重視する日本政府は、「大義のない有志連合に加われない」(防衛省幹部)と当初から否定的だったが、対イラン強硬派のポンペオ米国務長官らが繰り返し、日本にも参加を求めてきた。

60年前の1月19日、新たな日米安全保障条約が調印されました。国際秩序の構図が大きく変わるなか、日米同盟の性格も変わろうとしています。シリーズでは「日米安保の現在地」を確かめ、将来を展望します。

■有志連合には加わらないが……

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