難民キャンプから世界チャンプへ カチンの子はなぜ強い

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藤崎麻里
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 東京で11月下旬に開かれた極真空手の世界大会で、ミャンマーから来た3人の子どもたちが年齢別部門で優勝と準優勝を果たしました。この3人、ミャンマーの少数民族「カチン族」の子どもたちで、少し前まで難民だったといいます。指導者らに話を聞くと、カチンの子どもたちの強さは、難民という過酷な環境と切っても切れない関係にあることがわかってきました。

「カチンの子は大技を繰り出す」

 極真空手の世界一を決める「全世界空手道選手権大会」の一環で、子どもが年齢別に世界一を争う「2019ワールドエリート空手道選手権大会」が都内で開かれました。広いアリーナには、ロシア語や中国語など、さまざまな言葉のかけ声や応援が飛び交います。

 「押忍(おす)!」

 元気なかけ声とともに、8歳男子の部の決勝戦の舞台に立ったのは、極真会館大阪なみはや支部の今北風晴選手と、ミャンマーのジャ・ラ選手。この2人、4月の国際大会でも決勝で顔を合わせていて、そのときはジャ・ラくんがわずかな差で判定勝ちしています。

 今回の対戦も実力者どうし、試合開始早々から互いに果敢に技を繰り出します。するとジャ・ラくんの伸びるような上段回し蹴りが当たって「技有り」に。その後、今北くんも反撃しますが、最後はジャ・ラくんの突き蹴りが決まり、試合終了。

 閉会式。ジャ・ラくんはミャンマーの国旗を肩にかけ、優勝の盾を誇らしげに手にしていました。同じようにミャンマー国旗をまとっている選手があと2人。7歳女子の部で優勝したサン・マイ・ヌーさんと、6歳男子の部で準優勝したセン・ラット・アングくん。この2人は姉弟です。

 3人は4月に日本であった国際大会でも各部門で優勝し、世界にその強さを知らしめました。「カチンの子たちは大技を繰り出す」と、今大会の日本人スタッフも驚く腕前で、とくに蹴り技が強いそうです。

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 カチン族とはどんな人たちなのでしょうか。

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