両陛下、宮城・福島を訪問 仮設住宅で台風被災者と握手

令和・即位

 天皇、皇后両陛下は26日、台風19号などで大きな被害を受けた宮城県丸森町、福島県本宮市を日帰りで訪れ、被災者を見舞った。天皇陛下の即位後、両陛下が災害被災地を訪れたのは初めて。

 両陛下はまず、10人が死亡、1人が行方不明となった丸森町に入った。川が氾濫(はんらん)し、住宅などが流された五福谷(ごふくや)地区を視察した後、町中心部の花田応急仮設住宅を訪れ、集会所で約50人の被災者と対面した。濁流に襲われた自宅に一時、2人の子どもが取り残されたという船山力愛(かつえ)さん(53)に、両陛下は「お子さんたちが怖い思いをしましたね」「心のケアは大丈夫ですか」と声をかけ、握手を交わした。船山さんは「両陛下はじっと目を合わせてくれて、まなざしが優しかった。『なんとかなる』と前向きになれた」と話した。

 自宅周辺が土砂崩れに巻き込まれた佐藤雄一さん(69)は、天皇陛下から「生活は?」と気遣われた。皇后さまは、近所の女性を助けられなかったことを悔やむ佐藤さんの話に「大変な思いをされて」と目を潤ませながら聴き入った。町立丸森中学校2年生の菅野さくらさん(13)は皇后さまから「学校はいかがですか」と尋ねられ、「部活もできるようになって楽しいです」と答えた。両陛下とも安心したような笑顔を見せ、菅野さんと握手を交わした。

 その後、両陛下は自衛隊ヘリで、7人が亡くなった本宮市に移動した。強い雨が降る中、安達太良川に架かる橋の上から被災状況を視察。2度にわたり黙礼して犠牲者を悼んだ。

 さらに、市内の保健福祉施設で被災者らと懇談。1階が水没し、職員が亡くなった谷病院の谷良久院長(71)を、天皇陛下は「大変でしたね」と慰めた。皇后さまは「患者さんに被害はありませんでしたか」と尋ねていた。谷さんは「活力が無くなってしまっていたけれど、また明日から患者さんのために頑張ろうと思いました」と涙ぐんでいた。

 また、自宅1階が水没し、家族が離ればなれで避難したことや、電車が不通になり福島市の高校に通学できなかったことなどを話した高校1年生の真島唱良々(うらら)さん(15)に、皇后さまは、何度もうなずきながら、「つらかったでしょうね」「学校の人たちでほかに被災された方はいましたか」と問いかけていた。真島さんは「最初はどきどきしましたが、すぐに緊張がとけて、とても話しやすかったです」。

 両陛下は、被災者らと目線が同じ高さになるよう腰をかがめたり、少し前かがみになったり。被災者の松井キミヨさん(86)は「わざわざ遠いところにいらしていただき、ありがとうございます。風邪を引かないように」と両陛下に声をかけ、両陛下も笑顔でうなずいていた。

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