パワハラ判断指針、国が決定 企業の防止策義務化で目安

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内山修 滝沢卓 内藤尚志 編集委員・沢路毅彦

 職場での発言やふるまいがパワーハラスメント(パワハラ)かどうかを判断するための国の指針が23日、決まった。来年6月から大企業、2022年4月から中小企業にパワハラ防止策をとることが義務化される際の目安となる。

 5月に成立した改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、パワハラを①優越的な関係を背景にした言動で、②業務上必要な範囲を超えたもので、③労働者の就業環境が害されることと定義した。パワハラを「行ってはならない」と明記した。

 労使の代表らによる労働政策審議会の分科会が23日にとりまとめた指針は、「身体的な攻撃」や「過大な要求」など、厚生労働省が定めたパワハラ6類型に沿ってパワハラに当たる例と当たらない例を列挙。大勢の前で威圧的にしかりつけることや、業務に関係ない雑用を強制することはパワハラだと定めた。

 性的マイノリティーなどの性的指向・性自認や、不妊治療などの個人情報を本人の了解を得ずに周囲に伝えることもパワハラに当たるとし、企業に防止策をとるよう求めた。

 相談窓口の設置や社内規定の整備など、企業が防止策を義務づけられたのは、「業務を遂行する場所」での正社員や非正規雇用者に対するパワハラだ。取り組まない企業には行政指導で改善を求め、なお従わない場合は企業名が公表されるが、パワハラの実態に詳しい弁護士からは「居酒屋などでのパワハラが対象外になる恐れがある」との指摘がある。また、フリーランスや就職活動中の学生など、雇用関係にない働き手も対象外で「必要な注意を払うよう配慮」することを企業に求めるにとどまった。

 今後は、指針をどう運用する…

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