消えない五輪トーチの炎 世界初、桁違いの厳しさに挑む

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山本亮介 前田大輔
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 東京五輪聖火リレーが3月26日、福島県を出発する。全国を巡る走者が掲げるのが、光り輝くトーチだ。強い風雨でも消えない炎が実現するまでには、「世界初」に挑んだデザイナーや技術者らの試行錯誤の日々があった。

 2015年秋。デザイナーの吉岡徳仁(とくじん)さん(52)は東日本大震災の復興支援で訪れた福島県南相馬市の小学校で、2年生の児童らと桜の絵を描いていた。子どもたちの元気な姿と、できあがった100枚ほどの絵を見て、感じた。「こんなトーチで聖火リレーができたら」

 トーチデザインの公募は始まっていなかったが、構想は練っていた。「苦悩を乗り越え立ち上がる被災地の人たちの姿を世界中に見てもらいたい」。子どもたちの絵が出発点となった。

 完成したデザインは桜の花がモチーフに。先端が五つにわかれ、火がつくと炎が一つになる。トーチそのものも太陽の光に反射して輝くようにした。「聖火ランナーがそれぞれ輝きを持って、希望の道をつないでほしい」との願いからだった。

 デザインを形にするため、「世界初の挑戦」にこだわった。デザインと構造が一体となるよう、どう造形し、激しい風雨に耐える炎をどう生み出すか。業者探しが始まった。

■動いたハート 迷わずに即答…

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