指導法変えた部員の急死 関学大アメフト部監督、有終V

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榊原一生
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 アメリカンフットボールの大学日本一を決める第74回甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)が15日、阪神甲子園球場であり、西日本代表の関西学院大(関西)が東日本代表の早稲田大(関東)を38―28で下し、2年連続30度目の優勝を果たした。今季限りでの退任を表明している関学大の鳥内秀晃監督(61)は、自身の甲子園ラストゲームで、12度目の大学王者に導いた。

 「この一瞬のためにやってきてんねん。よかったなあ」。試合後、鳥内監督は学生たちにねぎらいの言葉をかけた。笑顔で集合写真に納まり、「目標を達成した学生たちの姿を見たくて1年間(指導を)やっている。私も報われた」。1992年の就任時から人間教育を核にチームづくりに奔走してきた監督らしい言葉だった。

個人面談で約束

 大切な試合の前に必ず足を運んできた場所がある。関学大監督だった父の昭人さんが眠る墓だ。ろうそくを立て、墓石を磨き、チームの近況などを報告する。監督就任時、こう言われたという。「4年生を男にしたれ」。この28年は親子の約束を果たすためにも、チーム強化の根底にある「人間教育」に力を注いできた。

 関学大では上級生が良き先輩として、下級生たちを指導。競技への理解と絆の深さでチーム全体の組織力を高め、常勝の伝統を受け継いできた。高い自覚が求められる上級生に監督は、惜しげなく助言を与えてきた。その機会の一つが個人面談だ。毎年、新チームが発足する年明けに監督が最上級生と1対1で向き合う。「お前はチームのために何をするんや」。究極には「どんな男になんねん」と問いかける。会話は録音。とにかく方法論を突き詰め、学生と約束事を作って行動に責任を伴わせる。「指導者は、勝ちたいという学生の思いを手助けするんが役割。でも口先だけで終わる人間はここにはいらん。実行してきたから78年の伝統がある」

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 面談で確かめたいのは言葉で…

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