神戸大生、献花式から姿消え危機感 「再び、自分事に」

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井手さゆり
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 阪神・淡路大震災で39人の学生が犠牲になった神戸大の現役生たちが、発生から25年の節目を前に、改めて遺族への聞き取りに取り組んでいる。きっかけは、同大で毎年開かれている震災慰霊献花式で見た光景だった。

 12月上旬の日曜日、神戸大学メディア研(ラボ)の森岡聖陽(まさあき)さん(22)ら4人が、倒壊した下宿の下敷きになって亡くなった森渉(もりわたる)さん(当時22)の母尚江(ひさえ)さん(82)を京都市に訪ねた。4人は、渉さんの子ども時代や震災当時の様子、その後の遺族の暮らしについて話を聞いた。

 中学、高校時代はバスケットボールが好きだったこと。大学ではサックスに熱中していたこと。文学青年の一面があったこと。新聞社から内定をもらいスーツを買ってあげたこと。そのスーツを棺(ひつぎ)の渉さんに着せて天国へ送ったこと――。尚江さんは質問の一つ一つに丁寧に答え、インタビューは2時間以上に及んだ。尚江さんは「歴史的事実みたいになっている震災を、若い人たちがフレッシュに受け止めてくれるのは本当にうれしい」と顔をほころばせた。

 メディア研は昨年12月に発足。活動方法を模索するなか、最初に選んだ取材対象が、1月17日に同大の慰霊碑で行われる献花式だった。当日はメディア研の2人が取材し、参列した遺族や友人らに話を聞いた。しかしそこに、現役生は1人も見当たらなかった。

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 「誰かは来るだろうと思って…

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