亡くなる前日に吹き込み終了 木内みどりさんの「遺作」

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宮崎園子
【動画】木内みどりさんが急逝直前に音声を収録した映像作品に込めた思い
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 11月18日に69歳で急逝した俳優、木内みどりさんの「遺作」が、戦後75年を迎える来年の1月1日から、広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で展示される。亡くなる前日に声を吹き込み終えたのは、反戦画家の兄と被爆死した弟の物語。木内さんが伝えたかったものは何か――。

 亡くなる2日前、木内さんは広島市内のスタジオで収録に臨んでいた。

 「誰かが作ったシナリオの役をやるのとは違う。自分にできるかという怖さがあって……」。記者の取材にそう語っていた。

 木内さんが吹き込んだのは、シベリア抑留から生還し、反戦反核を表現し続けた広島の詩画人、四國五郎(1924~2014)と、3歳下の弟、直登。2人が残した日記をモチーフに、五郎の絵を組み合わせた約30分の映像作品で、木内さんは日記の朗読を担当した。

 《兄》私の手に一冊のノートがある。お世辞にも上手とは言えない右さがりの文字がいっぱいに埋まった日記帳がある

 作品はこう始まる。画家を志したが1944年10月に20歳で徴兵され、旧満州へ。残された直登は兄の言いつけを守り、日記を書き続けた。そして45年――。

 《弟》八月五日 日曜日 晴…

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