「亡国感」が襲う台湾 「火の手が家の前に迫っている」

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台北=西本秀
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 反政府デモが続く香港情勢が、来年1月11日の台湾総統選の様相を一変させている。台湾に統一を迫る中国への警戒感が高まり、歯切れ良く「一国二制度」を拒否する現職の蔡英文(ツァイインウェン)総統(63)の支持率が急回復。香港と同じく若者が世論を引っ張っている。(台北=西本秀

 香港区議会選で民主派が圧勝した直後の11月26日。学生が立てこもりを続けていた香港理工大学そばの街角に、あるイラストが張り出された。

 誰もいない子供部屋に入った母親が、選挙結果について「これで慰めになるよね」とつぶやく。がらんとした部屋は、デモに関連して亡くなったり拘束されたり、現場に残り続けたりしている学生を暗示する。

 作者は台湾のデザイナー林嘉鈞さん(25)。香港情勢を題材にした作品を以前からフェイスブック(FB)に発表し、区議選当日も台北でニュースを見守りながら投稿。台湾や香港から約10万の「いいね」が集まり、拡散し、香港の街に掲げられた。

 台湾の若者が香港のデモに共鳴する背景には、統一をめざし台湾に圧力をかける中国への警戒感がある。

 中国の習近平(シーチンピン)・国家主席が、香港に適用する一国二制度の「台湾モデル」を模索すると演説したのは今年1月。その香港で6月から本格化したデモを、香港政府はときに実弾を使って抑え込んだ。一国二制度の現実を、台湾の人々は隣で見せつけられている。

 林さんは今回、イラストと共にFBにこう記した。

 「火の手が家の前に迫ってい…

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