マルタ首相、年明けの辞任表明 記者殺害めぐり側近拘束

ローマ=河原田慎一
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 地中海の島国マルタのムスカット首相が1日、自身が率いる労働党の新党首を来年1月12日までに選出し、その後に辞任する意向を示した。側近の首相首席補佐官が2017年の女性ジャーナリスト殺害事件に関与した疑いで先月末に捜査当局に拘束されたばかりで、ムスカット氏の即時辞任を求める声が強まっていた。

 ムスカット氏は1日にテレビ演説し、事件を非難した上で、「(1月まで)首相と労働党首としての責任を果たす」と即時の辞任は否定した。

 殺害事件は17年10月に発生。ダフネ・カルアナガリチアさん(当時53)が、車で自宅を出た直後に車が爆発し、死亡した。カルアナガリチアさんは、租税回避地の実態を明らかにした「パナマ文書」報道に関わり、マルタのエネルギー輸入に絡みムスカット氏の親族が利益を得ていた疑惑などを報じていた。

 殺害事件をめぐっては、ムスカット氏に近い閣僚らの関与疑惑が浮上。捜査当局が11月、同氏の側近のシェンブリ首相首席補佐官を殺害に関与した疑いで拘束。同補佐官とミッツィ観光相が辞任した。また、事情聴取を受けたカルドナ経済相も停職を申し出た。(ローマ=河原田慎一)

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