マレーシアのマハティール首相は、アジアで最も名が知られた政治家の一人であり、その言葉は国内外に影響力を持つ。最初の首相在任は22年間に及び、日本などの発展に学ぶ「ルックイースト(東方)政策」を唱えた。そして昨年、15年ぶりにその座に返り咲いた94歳の目に、いまの世界、アジア、そして日本はどう映るのか。

 ――ともに超大国である米国と中国の対立が続き、世界に大きな影響を与えていますね。

 「米国の大統領が『偉大なアメリカ』を再現しようとしていることが根本的な原因です。貿易戦争に突入すべきではなかったし、きちんと交渉すべきだった。でも彼は、交渉よりも対立や貿易戦争を好んでいます」

 ――責任は米国側にある、と。

 「そうです」

 ――アジアへの影響は?

 「両方の側面があります。中国に投資していた米国企業が東南アジアに移る動きがある一方、貿易のあり方に混乱を生じさせてもいる。各国にとっては貿易にかかるコストが多くなっています」

 ――ただ、トランプ米大統領は大統領選を来年に控え「米国第一主義」を貫く考えのようです。

 「米国民が彼の振る舞いをきちんと評価するよう望みます。友好国に対してすら、これほど残酷で挑みかかるような大統領は見たことがない。欧州とすら争っているように見えますが、従来の米国の政策にはなかったことです。外から見ていると、トランプ氏がいない方が米国にとってはいいのではないかと思える。でも、米国内ではそれなりの国民が、『米国第一主義』を良い政策だと思っているようです。米国はやがて高い代償を払うことになるでしょう」

 ――高い代償とは。

 「ほかの国々は、米国をもはや…

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