反緊縮や貧困対策で主張強める自民若手 なぜ今なのか

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笠井哲也
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 緊縮財政や構造改革グローバル化を推し進めた結果、格差が拡大し、国力が低下した。現状を厳しく認識し、政策転換をはかる必要がある――。一見、政権を批判する野党の主張にもみえるが、そうした「提言」を掲げているのは、政権与党である自民党の若手議員たちだ。すでに30回を超える勉強会を開き、10月には貧困をテーマに取り組んだ。なぜ今、自民党の若手からこんな声が上がっているのか。

困窮者支援のNPO招く

 若手議員らの会の名称は「日本の未来を考える勉強会」。2017年に発足し、当選1~3回の若手議員が参加する。これまでに元内閣官房参与の藤井聡・京都大大学院教授や評論家の中野剛志氏らを呼び、財政政策などについて学んできた。

 18年5月には、増税凍結と、基礎的財政収支プライマリーバランス=PB)黒字化目標の撤回を求める提言を発表。今年10月からは新たに貧困問題に取り組み、11月12日に衆院議員会館で開かれた会では「全世代に広がる貧困と格差」をテーマに、生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典・代表理事を講師に招いた。10人ほどの議員が集まった。

 藤田氏の講演は「公助の領域に財政支出をしなければ貧困、格差は広がる。個人消費も伸びずに経済は縮小していく」との問題提起で始まった。日本ではひとり親世帯の貧困率が50.8%と、先進国など36カ国でつくる経済協力開発機構OECD)加盟国の中でも異常に高い数値を示していること、若年層でうつ病や不安神経症などの精神疾患になる人が増えていることなどを紹介すると、議員からは声があがり、考え込む姿もあった。

「大変感銘を受けた」

 藤田氏は「1990年代後半…

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