床下の消毒は不要? 浸水住宅の衛生対策、専門家に聞く

台風19号

荻原千明
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復興への知恵

吉田真紀子さん(56)=東北大大学院助教(感染症疫学)

 浸水住宅の衛生対策と消毒方法について、2016年に「ガイダンス」をまとめ、日本環境感染学会のホームページで公開(http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=19別ウインドウで開きます)しています。「基本的に土壌への消毒は不要」と書いており、自治体の方から「床下の消毒はいらないのか」との問い合わせもあります。

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 汚泥はスコップなどでかき出して水で洗い流し、物理的に取り除くことが重要です。すぐ消毒したくなりますが、大切なのは乾燥。コンクリートの基礎は1カ月ほどは乾かないという研究もあり、不十分なままでは細菌やカビが発生し、臭いやアレルギーなどの原因となることもあります。洗浄と乾燥をしっかりと行うことを基本に考えて下さい。また、消石灰は一度ぬれて乾燥すると効果はありません。飛散して目などを傷める恐れもあり、使うならマスク、ゴム手袋、ゴーグルを着けてください。

 床上浸水の場合、床やテーブルの脚など気になるところを消毒します。ハイター(家庭用塩素系漂白剤)などの次亜塩素酸ナトリウムで消毒するときは0・1%に薄めた液に浸した布でよく拭きます。色落ちが気になる際は、消毒用アルコールや塩化ベンザルコニウムも使えます。いずれの場合も、スプレーはしないでください。吸い込む危険がある上、面全体に行き届かなくなります。

 水害の後は、感染症を起こしやすい環境です。消毒を終えるまで、大げさに思えても、肌を出さずにゴム長靴、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを着け、身を守ってください。

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