英語新試験制度24年度導入めざす 文科省1年間検討へ
萩生田光一文部科学相は1日、2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験について、「来年度からの導入を見送る」と表明した。現制度は受験生の住む地域や、家庭の経済状況によって格差が生じるといった批判が出ており、「等しく安心して試験を受けられる配慮など、自信を持っておすすめできるシステムにはなっていない」と説明。今後1年をかけて新たな制度を検討し、24年度からの実施をめざすとした。
1日は、大学入試センターで受験に必要な「共通ID」の申し込みが始まったが、急きょ中止を表明した。異例の方針転換について、萩生田氏は「今日まで熱心に勉強に取り組んでいる高校生が多いと思います。今回の決定で約束を果たせなくなったことを大変申し訳なく思っております」と謝罪。「自分が受けようと思っている試験が、今日の段階でも、どの市のどの場所でいつ行われるのかも分からないまま準備を続けるのは、限界があるんじゃないか」と延期の理由を説明した。
文科省は、民間試験以外の入試センターが作る共通テストについては、20年度から予定通り始める考えだ。その中で英語の「読む・聞く」の試験も23年度まで続く。24年度には高校の新しい学習指導要領が全学年で実施されるのに合わせ、共通テスト全体の見直しを予定していた。萩生田氏はそのタイミングに合わせて民間試験を使うかも含めて再検討するとして、「仕組みを含めて抜本的に見直しを図っていきたい」と述べた。24年度実施になれば、現在の中学1年生が主な対象となる。
20年度に実施される現在の高校2年生が受験する入試から、大学入試センター試験に代わり大学入学共通テストが始まる。英語は民間試験の活用で「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価。特に「話す」試験について、一斉に数十万人が受験したり短時間に採点をしたりすることが難しいため、センターが認定する7種類の民間試験を活用する予定だった。ただ、会場の確保が都市圏に偏り受験料も高額なことなどから、受験生の住む地域や経済状況で受験機会に格差が生じることが指摘されていた。
さらに、萩生田氏が10月24日、BSフジの番組で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」などと発言。教育格差を容認しているなどと批判が集まり、謝罪、撤回に追い込まれた。こうした中、制度の問題点も改めて注目された。野党側は国会審議で繰り返し延期を要求。政府・与党内からも批判が出ていた。この日の会見で萩生田氏は延期の決定について、「私の発言が直接原因となったということではありません」と述べた。(矢島大輔、宮崎亮)…
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