「名古屋の台所」から魚消える? 中核ビル閉鎖で正念場

有料記事

堀川勝元 佐藤英彬
[PR]

 JR名古屋駅近くにあり、「名古屋の台所」として親しまれる柳橋中央市場の中核施設「中央水産ビル」(名古屋市中村区)が、31日に閉鎖される。周辺施設も老朽化や後継者問題に直面し、市場は今後の生き残りをかけて正念場を迎える。

 10月下旬の早朝、柳橋中央市場は車や人が行き交い、最も多くの店舗が入る中央水産ビルには活気あふれる声が飛び交う。「もっと大きいのは?」「魚は人間のために生きとるわけじゃない。大きさはそちらが合わせないかんよ」

 ビルは「名古屋中央市場水産物協同組合」(浅岡哲也理事長)が共同出資し、1965年に建てられた。だが老朽化が進み、名古屋市から耐震改修や建て替えを求められていた。

 こうした中で昨秋に売却案が浮上し、組合幹部の主導で一気に進んだ。昨年12月に組合の臨時総会で売却の賛否を問う投票があり、73票中70票の賛成で売却が決まった。売却先は公表されていない。複数の関係者によると、三重県のパチンコ会社が跡地の活用に興味を示しているという。10月末に閉鎖し、来年1月ごろに取り壊される予定だ。

 組合が所有する市場内の駐車場は、横浜市のIT関連企業が購入し、オフィスビルの建設を検討している。他の冷蔵ビル1棟も、オフィス機器の販売などを手がける名古屋市の会社が関心を寄せている。理事の一人は「売却は簡単に決めたわけではない。どの店の経営者も年齢が高く、事業継承が難しくなっていた。かつてのような売り上げは見込めず、建て替えや移転も費用面で折り合いがつかなかった」と話す。

ここから続き

 もう一つの背景には、流通の…

この記事は有料記事です。残り905文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら