2020年東京五輪の代表に内定したスポーツクライミングの野口啓代(TEAM au)が、地元開催の茨城国体に出場した。主戦場にしてきた国際大会と比べれば、舞台は小さい。それでも「もう本当に、運命的なタイミングでこの国体があったなって」と破顔一笑。来夏限りで引退する野口は、現役最後の国体で何を見たのか。
6日、鉾田市で開催された成年女子のリード決勝だった。野口は出場選手中ただ一人、12メートルの壁を登り切るとクルリと反転。満面の笑みで会場に何度も手を振った。目に映ったのは、見たこともない大観衆だ。「本当に、こんなにもの方が見にきてくれるなんて思ってもいなかったので。たくさんの拍手をしていただいて、すごく気持ち良かった」
この日、会場に集まった観客は6222人。大会関係者が驚きを込めて言う。「クライミングでこの人数は初めてじゃないか」。事実、東京・八王子で8月にあった世界選手権は10日ほどの大会期間中、たった一度だけ2千人をようやく超えた程度。日本山岳・スポーツクライミング協会の八木原国明会長も「野口啓代効果。しかし、こんなに集まるとは」。
野口は茨城・龍ケ崎市出身…