口に含むと広がる甘み 美酒カムイトノトが食の架け橋に

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文・深江園子 写真・吉村卓也
【動画】アイヌ文化、食が結ぶ「架け橋」=吉村卓也撮影
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 1899(明治32)年創業の小樽・田中酒造。製造直売所の「亀甲蔵」は、小樽の人気観光スポットだ。敷地内の蔵では、涼しい気候を生かして一年中仕込みを行う様子が見学できる。直売所に30種ほどの日本酒やリキュールが並ぶ中、アイヌ文様のボトルに入った酒「カムイトノト」があった。「試飲の前に、このデザインで選ばれています」というのは同社専務、岡田栄造さんだ。

 同社は2015年に白老のアイヌ民族博物館(現在は閉館)と連携。「アイヌ生活文化再現マニュアル」(アイヌ民族文化財団のホームページで公開)に沿って、アイヌ民族伝統のトノト(酒)を製品化した。杜氏(とうじ)の高野篤生さんは儀式に招かれ、トノトが捧げられる場面も体験したという。「伝統の製法を製造工程に落とし込むのが難しく、道立総合研究機構食品加工研究センターにもアドバイスを頂きました」(高野さん)。

 製品は北海道産の米麹、酵母、小樽のくみ上げ水にヒエを加えて発酵させ、味の厚みのためにヒエの甘酒も加えている。白いにごり酒を口に含むと、甘さ、酸味、コクが一度にじんわり広がった。

 小樽で販売中のカムイトノト…

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