日韓市民、対馬で慰霊祭 「こんなときこそ絶やさない」

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論説委員・中野晃
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 70年ほど前、韓国の済州島(チェジュド)で官憲に民衆が虐殺された「4・3事件」。犠牲者とみられる無数の遺体が漂着した対馬(長崎県)の海辺で29日、日韓の市民が慰霊祭を開く。外交関係が悪化し、韓国側では参加を見合わせる動きがあったが、「こういう時こそ民間交流を絶やしてはならない」と願う日韓の関係者の尽力で実現にこぎ着けた。

 呼びかけたのは奈良県生駒市の詩人、金時鐘(キムシジョン)さん(90)。日本が植民地支配した朝鮮で生まれ育ち、1948年4月3日、朝鮮半島の南単独選挙に抗議した済州島民らの蜂起に参加した。官憲に追われる身となり、翌49年に日本へ。金大中(キムデジュン)政権下の98年に約半世紀ぶりに島に帰郷して以来、両親の墓参りや事件の犠牲者の追悼を重ねてきた。

 事件前後から朝鮮戦争(50~53年)にかけて、済州島では数万人が虐殺された。金さんの目には当時の光景が焼き付いている。

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