【詳報】7年目の組閣 「安定」か「でがらし」か

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【動画】11日に予定される内閣改造。注目のポストは誰に? 注目のあの人はどうなる?
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 11日午前に自民党新四役の人事を決めた安倍晋三首相は、午後に第4次安倍再改造内閣を発足させました。政治家の発言や動きをタイムラインで追い、ポイントをわかりやすく解説します。

7年目の政権にネタ切れ感 首相駆使の「スローガン政治」限界みえた(寸評=斉藤太郎記者)

 安倍晋三首相は内閣改造後の記者会見で、新たな陣容を「安定と挑戦の内閣」と名付けました。事前に表明していた改造の方針をそのまま引用した形です。一方で、過去の組閣で「○○担当相」と名付け、「目玉」として演出した新設の閣僚ポストは作りませんでした。

 ここから垣間見えるのは何か。首相がこれまで駆使してきた「スローガン政治」の限界かもしれません。

 民主党から政権を奪還した2012年末、第2次安倍政権発足時の組閣で、首相は「危機突破内閣」と銘打ちました。アベノミクスを前面に掲げ、デフレ脱却・円高対策担当相も設けました。14年の改造で掲げたのは「実行実現内閣」。地方創生相や女性活躍担当相が登場しました。

 ただ、首相のかけ声はだんだんと「看板倒れ」のようになっていきます。

 15年の「未来へ挑戦する内閣」は1億総活躍相、16年の「未来チャレンジ内閣」は働き方改革担当相、17年の「仕事人内閣」は人づくり革命担当相――。年1回の内閣改造のごとに、新たな担当相という「看板」が並びました。

 昨年の改造に合わせた時の新設ポストは、全世代型社会保障改革担当相。ネーミングは「全員野球内閣」でした。ややもすれば、内向きな印象を与えかねないスローガンでした。

 そんな中、首相は今回の改造で目玉閣僚を新設せず、これまで設けた全世代型社会保障改革や1億総活躍の担当相には、自らに近い新任閣僚を充てました。会見では「自民党は老壮青の人材の宝庫」などと各閣僚の持ち味を説明するのが中心。内閣全体で何を目指すかは、よく見えてきませんでした。

 政権発足から6年半を超え、年末には7年目に入ろうとしている長期政権に、いよいよ「ネタ切れ感」が漂ってきた――。そんな風にも見えました。

過去に問題抱えた議員多い新内閣 「チャンス」到来の野党、統一会派で対抗へ(寸評=今野忍記者)

 今回の内閣改造を受け、「1強多弱」などと揶揄(やゆ)され、安倍政権に主導権を握られ続けてきた野党は反転攻勢に転じることができるのでしょうか。

 「野党がだらしないから助かるよ」。政権幹部を取材すると、よくこういった発言を耳にします。安倍晋三首相も「あの悪夢のような民主党政権の誕生を許してしまった」と述べ、7年近く前に自身が政権を奪い返した旧民主党政権への批判を繰り返しています。

 今年は2009年9月の「政…

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