2分に1人、子供の命が奪われる 撲滅へ終わりなき闘い

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植松佳香
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 2分に1人の割合で子どもの命を奪っている感染症がある。マラリアだ。この10年で死者は半減し、国連機関は2030年までに死者をゼロに近づけることを目指しているが、アフリカを中心にいまだに被害は深刻だ。8月末に横浜市であった第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の開催に合わせて来日したマラリア撲滅を目指す団体の代表2人に、現状を聞いた。

 マラリアは、マラリア原虫を持っている蚊に刺されることで感染する。体内に侵入したマラリア原虫が赤血球内で増殖し、赤血球を破壊。発熱後、様々な臓器の機能が低下して、最悪死に至る。発熱から24時間以内に治療をすれば、重症化は防げると言われている。

 世界保健機関(WHO)の2018年の報告書によると、17年には世界87カ国で推定2億1900万件のマラリア症例があった。43万5千人が亡くなったと推定されている。死亡した9割がアフリカ地域の人たちで、6割は5歳未満の子どもだった。

 2000年以降になって、その数は大幅に減少。マラリア撲滅を目指す世界的組織「ロールバック・マラリア・パートナーシップ」代表のアブドゥラハム・ディアロ博士は、減少の主な要因として、▽殺虫成分入りの蚊帳、簡易診断キット、治療薬の普及▽資金の増加▽各国の政治家らの指導力や撲滅への意志――などを挙げる。ディアロ氏は「どれか一つではなく、それらが相互にうまく作用することで、著しい成果が出ている」とし、「700万人の命を救い、10億人の感染を防いだ。この成果は歴史的にも大きい」と語る。

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