ユニチカ、原料の検査データを改ざん 発覚後も公表せず

米谷陽一
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 繊維大手のユニチカは28日、台所用品や工業用品などに使う原料の検査データを改ざんしていたと発表した。取引先が求める基準に満たない製品が見つかっても、検査結果を書き換えるなどして出荷していた。同社は昨年10月に不正を把握していたが、これまで公表せず、取引先にも説明していなかった。

 不正があったのは、水切り袋や防水テープをつくるメーカーに納めている「不織布」「ポリエステル繊維」の検査データ。ユニチカと子会社の日本エステルが製造し、繊維の長さや熱収縮率といった社内の品質基準のほか、取引先とも独自に契約した基準がある。ユニチカはこれらの基準から外れていても、満たしたように書き換えていた。

 不正は昨年10月の社内調査で発覚した。遅くとも2013年8月から5年間、76製品で改ざんされ、この大半が社内基準や、取引先との独自基準を書き換えていた。ほとんどが基準を満たした製品と同等の品質があるとしているが、9製品については「実質的な改ざんがあった」(同社)。

 ユニチカは今年2月に外部の調査委員会を設置。関係者の聞き取りを進め、品質管理部門の一部の担当者が不正にかかわっていたとした。この担当者は「納期を守るためだった。基準から大きく外れた製品は出荷していない」と説明しているという。

 ただ同社は、不正の発覚後1年間にわたり事実を公表せず、取引先にも説明していなかった。今回の発表でも、不正があった製品名や取引先を明らかにしていない。ユニチカは「消費者の安全には問題がない。取引先には今後、説明してゆく。社内の管理態勢を強化して、再発防止に取り組む」(広報担当者)としている。(米谷陽一)

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