揺らぐ日米韓、得するのは…体制立て直しへ日本にも責任

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記者解説 アメリカ総局員・園田耕司

・米国、中ロの共同飛行に大きな衝撃。日韓問題に「深い憂慮」も、調停は不発

・トランプ米大統領、日韓問題深入りに慎重。背景に同盟軽視・二国間交渉重視

日韓関係の悪化、米国の覇権に陰り。韓国批判より冷静に安全保障戦略を

 7月下旬、米ワシントンに衝撃が広がった。日韓両国の防空識別圏が重なり合う東シナ海や日本海の上空に、中国機とロシア機が進入し、初の共同警戒監視活動を行ったからだ。ワシントンの外交関係者は、米国の同盟国・日韓の対立を受け、日米韓の防衛協力の揺らぎを見る試みと受け止めた。

 東アジアの安全保障問題に詳しい米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は、「中ロは、日韓の緊張と米国の同盟国体制の弱体化につけこもうと待ち構えている。我々は中ロの準備態勢を過小評価してはいけない」と警告する。

 事態を危惧したナッパー米国務副次官補(日韓担当)は8月初旬、「(中ロが)日米韓3カ国の間にくさびを打つようなことがこれ以上あってはいけない」と訴え、「我々は日韓が互いに関係改善を図る責任があると考えている」と日韓両国に注文をつけた。

 米政府は日韓の関係悪化に繰り返し「深い憂慮の念」を表明し、改善を働きかけてきた。その要因の一つは、韓国側が7月に入り、日本の対韓輸出規制に対抗し、日韓の軍事情報包括保護協定GSOMIA)の再検討に言及し始めたことだ。GSOMIAは日米韓安全保障体制の柱の一つで、米国が尽力してまとまったものだからだ。

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 複数の日米外交関係者による…

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