「軍国主義」「平和の象徴」? 国旗法20年薄れる関心

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安田桂子 岩崎生之助

 国旗・国歌法が施行されて今月、20年になった。特に日の丸は学校や議会などでの掲揚が日常化したが、様々な思いで見つめる人たちがいる。

 平和台陸上競技場(福岡市)で5月あったラグビーワールドカップのPRイベントで、巨大な日の丸が掲げられた。縦2・6メートル、横3・6メートル。占領下の1948年、福岡で行われた国体で、連合国軍総司令部(GHQ)が戦後初めて掲揚を許した旗だという。布は茶色く変色している。

 イベントは福岡青年会議所が開いた。企画担当の立部光宝さん(39)は「平和を願って掲げられた日の丸を紹介し、イベントの魅力や訴求力を高めたかった。令和の新時代には平和の象徴と捉え直してもいいのでは」。参加者から苦情や疑問はなかったという。

 日の丸は軍国主義のシンボルとされ、掲揚に抵抗を持つ人は少なくなかった。87年に沖縄県であった国体会場で引き降ろされ、燃やされたこともある。

 相模原市の京極紀子さん(63)は法制化に危機感を抱き、反対活動を続けている。今年3月にも反対を訴える集会を開いた。法制化から20年。世間の関心は薄れたと感じる。「思想・良心の自由が守られるかという問題。少数しか声を上げないからと切り捨てられてはいけない」と話す。

 旗の製造・販売を手がける1937年創業の東京製旗(東京)。59年の皇太子(現上皇)の結婚の時には連日1千枚単位の注文が入り、東京五輪があった64年も特需で生産が追いつかず、工場を新設。その後、需要は徐々に減り、国旗・国歌法施行後、日の丸は年間5万枚ほどで推移している。令和ブームに沸いた今春は普段の3~4倍売れたが、ほどなく落ち着いたという。

 小林達夫社長(62)は「学…

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