被爆十字架、米国から長崎へ 大司教「揺るがぬ証人に」

有料記事モノ語る空襲1945

榎本瑞希 田井中雅人
[PR]

 米国による原爆投下で崩壊した長崎市浦上天主堂のがれきの中で見つかり、米国で保管されていた「被爆十字架」が7日、被爆から74年を経て浦上教会に返還された。

 十字架を手にしたカトリック長崎大司教区の高見三明大司教(73)は「人間の残忍さを訴えると同時に、希望を与えてくれる。生きていてくれてよかった。被爆者は亡くなっても、揺るがぬ原爆の証人になってくれる」と話した。

 浦上教会などによると、十字架は1930年代半ばから旧天主堂内にあった。原爆投下後の45年秋から長崎に駐留し、当時の山口愛次郎司教(故人)と親交を結んだ米海兵隊員のウォルター・フークさん(2010年に97歳で死去)が譲り受けたとされる。82年、米ウィルミントン大学平和資料センターに寄贈された。

 十字架を返還したセンターのターニャ・マウス所長は「この十字架は核兵器を保有する米国と各国政府にその使用をやめるよう促している。浦上に返還することで、新たな意味が見いだされるだろう」と話した。

■人間の愚かさ伝える十字架…

この記事は有料記事です。残り781文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

平和連載・モノ語る

平和連載・モノ語る

戦争体験者が減る中、重みを増す「モノ」。そこに思いを託す人々の物語。[もっと見る]