選手向けの託児所が好評 五輪では暗雲?「必要性薄い」

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室田賢

 小型ヨットで海上に設置されたコースを回り、順位を競うセーリング。2020年東京五輪ではメダル有望競技の一つだ。競技力だけでなく、日本のセーリングが誇る、他競技に先駆けた取り組みがある。選手向けのチャイルドルーム(無料託児所)。日本連盟が02年の国体で初めて会場に設置し、五輪会場の江の島ヨットハーバーで開催中の470級世界選手権でも国内外の選手に好評だ。しかし、五輪本番では設置できないかもしれない。

 五輪4大会連続出場をめざす吉田(旧姓・近藤)愛選手(38)は世界選手権中、長男の琉良(るい)君(2)を連れ、ハーバーに隣接するチャイルドルームを連日訪れる。16年リオ五輪5位入賞後、17年に琉良君を出産。昨年の世界選手権で日本勢初優勝を果たし、子育てをしながら東京五輪のメダルをめざしている。

 吉田選手は出産後、「日常生活で、子どものことを考える時間の割合が圧倒的になった」と話す。試合会場や家から離れた場所に子どもを預けるには時間も手間もかかるが、「大会があるすぐそばで預かってくれるので、合間に顔を見に行ったり母乳を届けたりもできたし、本当に助かっている。競技に集中できるようになった」。

 ただ、東京五輪の大会組織委員会の担当者は、「五輪本番では設置予定はない」と話す。選手村は基本的に選手しか入れず、「その間、選手の子どもには誰か大人がついているはず」という見立てだ。

 選手村や試合会場への入場パスも数が限られており、「託児所は、保護者が保育を行えない場合に一時的に預かる場所であり、五輪ではその必要性が薄い」と担当者は話す。

 日本連盟が初めて会場に託児…

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