老いも若きもアートで生き生き 臨床美術で五感を刺激

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織井優佳
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 五感を駆使した独自のプログラムで絵やオブジェをつくる「臨床美術」が、子どもの情操教育やお年寄りの生活の質向上に有効と注目されている。音楽などと違い、雰囲気がある作品が手元に残り、家族との会話の糸口にもなる。元々は認知症の症状改善のために考案されたが、今では子ども、社会人から高齢者まで幅広い層に導入が進んでいる。

 鎌倉市由比ガ浜2丁目のハリス記念鎌倉幼稚園では、5年前から月1回、同園出身の小学生向けに臨床美術を5クラス開いている。小学校とは違う価値観で、「卒園生がいつでも戻って来られる居場所を」と始まった。巧拙がはっきりする絵画教室と違い、強制も否定もされない自由な雰囲気が人気で、塾通いが始まる高学年まで通う子が多いという。

 2年生8人が参加したクラスの7月のテーマは「清流」。言葉の意味もよく分からない子どもたちが、せせらぎ音を聞き、小川や滝の写真を見てイメージをふくらませる。魚屋さんでもらった箱を割り、かけらで描くと聞き、興奮が高まる。その後は踊るように描く子や、脇目もふらず色を塗る子も。仕上げの鑑賞会ではお互いの作品の「すてきなところ」を発表した。

 担当する臨床美術士の中村早…

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