若者に漂うあきらめ感の正体は 難民問題に希望を探して

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聞き手・仲村和代
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 若い世代にあきらめが漂うのはなぜなのか。難民と社会をつなぐ活動をするNPO代表の渡部清花さん(28)は、「成熟した社会からこぼれ落ちないことが最低ラインで、自分たちが社会をつくると思えないから」とみる。沈み行く船の希望はどこにあるのか。

 ――格差が広がり、多くの人が将来に不安を抱えています。ただ、若い世代にはあきらめ感が漂い、政治への関心も低いといわれます。どうしてなのでしょう。

 「7月上中旬に1週間、米フォーブス誌の『アンダー30サミット アジア』に参加するため、香港に滞在しました。デモにも遭遇したし、同世代と対話もしました。返還からまだ20年。自分たちが自由を守り、国をつくる担い手になるという責任感が、抗議活動につながっていると感じました」

 「大学時代にNGOの駐在や国連インターンとして、バングラデシュの先住民族の村に滞在しました。紛争が続き、村が焼かれたり、女性が襲われたりという状況でしたが、そこで暮らす若者も、『自分たちの未来』を語っていた。これから社会をつくる、という思いがあるんです」

 「でも日本では、その実感は持ちづらい。社会が成熟し、大人が何十年もかけてつくったところから、いかにこぼれ落ちないかが、最低ラインになっている。だから、自分の一票に意味があると思えないのも、無理ないのかもしれません」

 ――自己責任論も強まっています。

 「自己責任という言葉は、一…

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