身近になる遺伝子検査 高まる期待と心理的負担

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松浦祐子
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 私たちの体をつくる細胞の中にある遺伝子を調べる「遺伝子検査」が、どんどん身近になっています。6月からは、がん細胞にかかわる100種類以上の遺伝子を一度に調べ、どの遺伝子に変異があるかを解析できる遺伝子検査システムが、公的医療保険の適用対象となりました。患者ごとに最適な治療法を探れるようになるとの期待が高まる一方で、自分の親族に発症する恐れがある遺伝性の病気まで分かる可能性もあり、新たな課題も出てきています。

 ヒトの細胞にある核の中には、23対の染色体が入っています。染色体は、二重らせんの構造をしたDNAからできています。4種類の塩基と糖、リン酸で構成されるDNAのうち、たんぱく質を作る指令が書かれた部分が遺伝子です。特定の遺伝子が変異することで、様々な病気が引き起こされることが分かってきています。

 このため、遺伝子変異が原因となる難病では、遺伝子検査が診断の確定に用いられるようになっています。おなかの赤ちゃんが染色体の異常でなるダウン症であるかなどを調べられる新型出生前診断を受ける人も増えています。

 さらに近年は、遺伝子検査の対象が一気に拡大しています。解析技術が急速に進むとともに、特にがんの分野で遺伝子の変異に対応した治療薬の開発が進んだためです。

 例えば乳がんでは、HER2…

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