全国の公立小中学校で1200件以上、教員の「未配置」が起きていることが明らかになった。理由として教育委員会が挙げるのは、特別支援学級の増加や、学校現場の若返りとともに産休・育休を取る教員が増えたことなどだ。一方、空いたポジションに就いてもらうための非正規教員のなり手が減っていることも、追い打ちをかけている。専門家は、「非正規教員に頼ってきた政策の問題が出ている」と指摘する。(上野創、編集委員・氏岡真弓

 「教育委員会も学校も、とにかく見つけようとしているが、探しても人がいない」。小中学校で教員の未配置が100件を超え、全国で最も多かった熊本県の担当者は話す。

 要因として挙げるのは、特別支援学級が県内(熊本市を除く)で昨年度の911学級から976学級へと65増えたことだ。「特別支援教育を受けさせたいと要望する保護者が増えている。それを受けて学級を作ると、担任として教員を配置しなければならず、人数が足りなくなる」という。結果的に、少人数指導などにあてる予定だった教員を回して対応している。

 特別支援学級は通常学級と異なり、希望する児童生徒が1人でもいると開設を決める市町村教委が増えている。障害者差別解消法が成立し、障害がある子どもらへの合理的な配慮が求められるようになったためだ。だが、子どもが特別支援学級に入るのかが決まらなかったり、転出入したりするため、学級数が確定するのは学年が始まる直前になる場合がある。

 非正規教員が必要となったり、未配置が生じたりする理由として、特別支援学級の増加を挙げる教委は他にも多い。92件の未配置を抱える愛知県は今年度、小中学校の特別支援学級が5年前より3割以上増えた。82件の神奈川県、44件の福岡県を含め、調査対象の72教委のうち55教委が朝日新聞の調査に「よくあてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた。

産休・育休、取得期間も長期化

 神奈川県や愛知県は、産休・育休を取る教員が増えていることも調査に「よくあてはまる」と回答した。この理由が「よくあてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えたのは計54教委だった。現在は、第2次ベビーブームに対応するために大量採用されたベテラン教員が定年を迎えており、各地で新たに採用する教員が増加している。この分、若手が増え、出産期を迎える教員が多い。文部科学省によると、2014年度に育休をとった教員は3万7052人いたが、17年度は4万2762人に増えた。

 「増えたのは人数だけではない」との指摘もある。「現場が忙しく、復帰しても休みにくいため、最大限の3年間取得するケースが増えている」と神奈川県教職員組合の島崎直人書記長は分析する。

「学校任せ」にする市教委も

 配置されるはずの教員が来ない学校では、他の教員がフォローを迫られたり、子どもにしわ寄せがいったりしている。

 東北地方の小学校では、6月か…

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