ウナギ完全養殖の壁は幼少イヤイヤ期 やっと食べたのは

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荻原千明
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 静岡県内の研究施設内。透明のボウルのような器のなかで全長1センチ強の柳の葉のような半透明の生き物が漂っている。スポイトでポタージュ状のものを流し込むと、いっせいに頭を突っ込んで食べ始めた。これが、ウナギの赤ちゃん(仔魚(しぎょ))だ。

 捕れる量が激減しているウナギを、人工的に生産できないか。そんな研究が、60年前から続けられている。産卵から孵化(ふか)、仔魚からシラスウナギ(稚魚)になるまでのナゾに包まれた幼少期の成長を、研究室でどう再現するか。最大の課題は、えさだった。

人工孵化、快挙の陰に

 自然界のニホンウナギは、日本から2千キロ離れたマリアナ諸島付近の海域で産み落とされた卵から生まれる。その後、海流に乗ってシラスウナギへと成長しながら東アジアに到達し、日本近海へとやってくる。

 このシラスウナギを捕らえて育てるしかない従来の養殖から、人の手で卵から育てたシラスウナギを使った養殖へ。1960年ごろに始まった人工生産の研究は、まず受精卵をつくって孵化させることから始まった。

 当初の研究は、主に大学や県…

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